中小企業の経営者にとって、求人費用や新人教育にかけるリソースは頭の痛い問題です。お金をかけたのはいいけれども、戦力になるまでは単なるコストになってしまう…。

しかし、キャリアアップ助成金を使うことで人を雇い入れ継続的に雇用することで国からお金がもらえる「キャリアアップ助成金」という制度があります。上手に活用すれば「人を採用したらむしろ収益が上がった」という可能性も十分にあります。

キャリアアップ助成金の目玉「正社員化コース」

キャリアアップ助成金には全部で7つの適用できるコースがありますが、その中でも最も企業に恩恵が大きいのが正社員化コースです。

恩恵とは助成金の額のことで、中小企業の場合「最低57万円最高72万円」の助成金を1人正社員にすることで受け取ることができます。1事業所あたり年間20人までは申請可能なので、最高で1440万円の助成金を受け取れることになります。これは活用しない手はないでしょう。

 

「正社員化コース」の利用条件

当然ですが、助成金を受け取るためには条件があります。正社員化コースの場合、被雇用者が有期契約で働いていた期間が6ヶ月以上3年以下であることです。

10年以上働いてくれているパートのおばちゃんを正社員にしてもキャリアアップ助成金はもらえませんし、入社時にいきなり正社員で採用したり、正社員になることが前提(雇用契約書に明記してある)の場合もキャリアアップ助成金対象外です。

 

ですので、これから新人を採用してキャリアアップ助成金をもらおうという場合は入口が重要になります。

「契約社員」で採用する場合のスケジュール感

まず、採用の際の雇用形態に注意です。キャリアアップ助成金の正社員化コースを申請するためには、有期雇用の「契約社員」で採用する必要があります。

有期雇用で6ヶ月以上雇用をするとキャリアアップ助成金の最初の関門は突破します。次に正社員に切り替えてから6ヶ月勤務してもらわなければなりません。

よって、キャリアアップ助成金を申請するための最低期間は「契約社員6ヶ月」「正社員6ヶ月」の合計12ヶ月ということになります。そして、正社員で6ヶ月経過してから2ヶ月以内に、キャリアアップ助成金正社員化コースの申請をしなければいけません。

例えば契約社員として2018年10月15日に採用した社員のキャリアアップ助成金を申請したいと考える場合、正社員に切り替えるのが2019年4月15日、キャリアアップ助成金を受け取れる条件を満たすのが2019年10月15日朝一ということになります。そして、2ヶ月後の2019年12月14日までに申請をしなければいけません。

ここで注意しないといけないのが、キャリアアップ助成金正社員化コースの申請日から支給決定日までの間に、該当の被雇用者が離職した場合は支給対象外になります。申請から支給決定までには短くて2ヶ月長くて半年程度時かかると言われています。雇い入れから助成金がもらえるまでは最短でも1年半くらいはかかると思っておいたほうがいいでしょう。

ですので、助成金欲しさにとりあえずたくさん雇うのは危険です。労働条件が悪いと離職の可能性が高くなりますので、結局助成金がもらえないということになりかねません。

雇用条件で気をつけること

また、雇用契約時に正社員化すること前提であることが明記されているのも対象外です。ですので、採用の際に被雇用者に話をするのにも工夫が必要です。

安定して長期で働きたいと思っている被雇用者の場合「え、正社員じゃなくて契約社員なの?有期だと安定しないから嫌だ」と思われてしまい、辞退されてしまうケースも考えられます。

 

ですので、基本給・賞与・インセンティブ・有給休暇・休日などの条件は変わらないことをしっかり伝える必要があります。契約社員であることがデメリットでないことを理解してもらわなければなりません。

「ほとんどの人は半年〜1年で正社員になっている」という実績について話すのは大丈夫です。とりあえず半年は有期のままで働いてもらうことになりますので、その間に「ここで働いていても正社員になれないんじゃないか」「正社員になっても意味なさそう」と思われないことも重要です。

そして、もう一つ気をつけないといけないのが給与です。契約社員だった6ヶ月間の給与と正社員位なってからの6ヶ月の給料を比べた時に、正社員になってからの給料の総額が5%アップしていないといけません。これは基本給・賞与・諸手当を含む総額ですが、残業代、歩合給、通勤手当ては含みません。

ですので「成績がいいから歩合が調子よくついて自然に給料が上がっている」はダメということです。基本給をあげるのが最もやり方としてはわかりやすく無難でしょう。

 

キャリアアップ助成金を上手に利用しましょう

キャリアアップ助成金正社員化コースは、高額な助成金ということもあって条件はなかなか厳しいですが、雇用に関して努力をした企業に足しして支払われるご褒美のようなものです。長く活躍してもらえる環境を整え、上手に活用しましょう。