政府が進めている働き方改革とはどのような政策なのでしょうか。概要と指摘されている問題点について考えていきます。

一億総活躍社会とは?

働き方改革について述べる際に一億総活躍社会という言葉がよく出されます。どういうことでしょう。

 

一億総活躍社会という言葉には2つポイントがあります。まず1億という数字。これは50年後も一億人の人口をキープするという目標を表しています。2つ目は総活躍です。つまり国家の国民数=労働者数ということです。

 

人口が減少するとどうなるか

日本は2011年を境に人口が減少し続けており、このまま現象が続くと50年後には5000万人を割り込むと考えられています。なぜ人口が減少するかというと出生率が上がらないからです。

出生率が上がらないのは若者が子供を作らなかったり、結婚せずに一生を終えたりという割合が増加することを意味しています。なぜ結婚も出産もしないかというと、それに適した社会環境がないからであるという考え方があります。その社会環境の一つが日本人の働き方であるという話なのです。

働き方改革で達成しなくてはいけない目標の一つは、結婚・出産・育児を安心して行うことができる社会の実現ということなのです。

 

国民全員が労働力となる意味は

では、総活躍というのはなぜ強調されるのでしょう。現在の時点で既に人口の減少は歯止めがかからなくなっており、このままだと人口の減少→労働力の減少→生産量の減少→国力の衰退という負のスパイラルに入ってしまいます。

 

そこで、若い人間が減った分をこれまで眠っていた労働力である家庭にいる女性、リタイアした高齢者によってカバーしてもらおうというわけです。そしてそういう人々が働くためには従来の日本の職場の状況では難しいため、働き方改革が必要だということなのです。

 

改善しないといけない「働き方」とは?

では、少子化に歯止めをかけかつ国民が見た労働力となるためには、今の働き方のどこを改善しなければならないのでしょうか。ポイントは労働時間、雇用形態です。

 

 

 

 

長時間労働の是正

日本は先進国の中で労働時間が長い国です。日本以外だとアメリカ、韓国が特に長時間の傾向があります。ユーロ圏は基本的には週40時間以内の労働の割合が多く、労働時間に対する考え方にかなり差があるようです。とはいえユーロ圏は失業者の慢性的な増加という別な問題を抱えて居ます。

 

長時間労働はブラック企業、過労死、自殺、パワハラなど社会問題となっているフレーズの元凶となっているといえますが、別の問題もあります。こういった環境だと育児や介護をしながら勤務をするのが現実的でないため、日本の場合特に女性が結婚や出産を境に労働市場から消滅してしまうのです。また、過酷な労働環境が仕事以外への興味や出会いの時間を奪い、男女ともに結婚や出産の適齢期を逃してしまっているといえます。

 

長時間労働の是正は出生率の増加のために避けては通れないポイントなのです。よって、具体的には残業時間を月45時間以内、年間360時間に制限し、会社が日時を指定しての有給休暇の消化を年に5日義務付けるということになりました。

 

雇用形態による格差の是正

また、正規雇用者と非正規雇用者の間の収入格差もポイントです。現在では同じ仕事をしていても正社員と契約社員、派遣社員で収入に格差があります。基本給、ボーナス、各種手当など、正社員しかない恩恵があるわけです。これを今よりも均等にしなければならなくなります。

 

「他の雇用形態のスタッフより責任も労働時間もストレスも食らって仕事してるのに、そんな風になったら正社員である意味がないじゃないか!」と思う方もいるでしょう。ですので、労働環境を改善し正社員でも負担が減るように今後なるわけです。これまでのことは「そういう時代だったんだな」と諦めるしかないでしょう。正社員として恩恵にあずかった面も少なからずあるわけですから。

 

それに有期契約の社員が5年を超えて勤務すると無期に切り替えなくてはいけないというルールは、2018年の4月より既に適用されています。これによって無期雇用になった場合でも、これまでは給与などの待遇に関して正社員並みに上げる必要はありませんでした。しかし、働き方改革の法令が施行されると、能力や仕事内容が同じ場合、古くからの正社員との格差を設けられなくなるわけです。

 

働き方改革の問題点

現在働き方改革で指摘されている問題点はやはり長時間労働に関する部分です。収入を残業代に依存している部分が多い労働者は、長時間労働ができなくなることによって収入が減るという声が上がっています。

 

これに関しては副業の解禁をすべしという意見があります。今後は労働者も複数の軸を持って生活をすることが求められるのです。

 

2019年4月1日から順次施行

働き方改革関連法は2019年4月1日から順次施行されます。法令を遵守し、1億総活躍社会の実現に向けて企業努力を行って下さい。