少し前までは考えられませんでしたが、内定後に辞退する求職者が増えています。なぜここ最近内定辞退が増えているのか、そしてそれを防ぐ方法を考えていきます。

新卒採用の場合は半年くらいの長いスパンで就職活動が行われるため、複数者の内定をとった学生は辞退をするのは当然自然な流れです。これはある程度仕方がないでしょう。

問題は中途採用の場合です。採用したい求職者がいる場合、採用担当者にとってこれまでは同時に選考を受けている他社がライバルでした。ですので選考途中や合否連絡の際の選考辞退さえ防げれば、内定後に辞退される可能性は比較的低かったのです。複数の会社で迷っている中途の転職者は、合格連絡が来ても内定受諾をせずに保留にする場合がほとんどです。

保留の場合は採用担当者はいつまでに決められそうか本人に確認をしておく必要はあります。仮にここで辞退されたとしても、内定後の辞退ではなくあくまで選考辞退という枠組みになるので会社としては新人の頭数に入れてはいません。入社するかどうかわからないから、採用活動は続行していく場合が多いでしょう。

 

困るのは内定後、会社が受け入れる気でいるところに内定辞退、つまり入社をしないという連絡が入るパターンです。どういう理由で内定辞退が発生してしまうのでしょうか。即戦力としての採用だった場合は大きな痛手です。

現職にとどまる求職者が増えている

最近の求人状況の厳しさから「新しく人を雇うよりは、いまいる人を辞めさせない方がコストもかからないし手間もかからない」として、退職者への慰留が非常に盛んに行われるようになっています。これまでは一旦退職の意思を表明した人は「会社への忠誠心やモチベーションが低いため周囲への悪影響が心配」といった考え方から、慰留はせずできるだけスムーズにやめてもらうといった考え方が主流でした。

 

しかし、現在は出産後もできれば復帰したい、親の介護があるからフルタイムは無理だけどうまく調整できれば勤務を続けたいといった方、今後独立を考えているがいまの会社が副業禁止なので縛りがゆるい会社に転職など、多様化したライフスタイルが一般的になっています。会社=生活という時代ではなくなって来ているので、会社がある程度フレキシブルに対応するということが増えているのです。

エピソード1 親の介護で退職予定だったが…

ある会社ではとても感じが良かった内定受諾者から入社1週間前に辞退の連絡が入りました。親の介護があっていまの会社では勤務が難しく退職予定と聞いていたため、時間の調整がつきやすいうちの会社なら大丈夫と採用担当者も安心しきっていました。

 

内定辞退の理由を尋ねると、内定直後に直属の上司ではなく人事担当者と話す機会があり、今まで勤務していた都心の拠点ではなく、郊外の家の近くの営業所の時間限定社員として働かないかという提案があったそうです。給与の条件も内定していた会社よりわずかに下がるだけでこれまでの社内の業務経験も活かせるということから、悩んだ末内定辞退を決めたということでした。

エピソード2 社内の人間関係で退職予定だったが

ある会社では入社2週間前に内定辞退の連絡が入りました。面接では「現職で半年前に配属された上司が合わずこれ以上勤務を続けられないということで退職を決めた」と聞いていました。

 

内定辞退の理由を尋ねると「言動や業務に問題がある上司ということで多くの社員からクレームが出ている。上司を配置換えをし、君の役職を上げることを考えているので残ってもらえないか」と打診されたといいうのです。一緒に働く人によって勤務するか否かを変えるのはどうかと悩んだそうですが、結局役職を上げるというのが決め手になり内定辞退を決めたということでした。

いいと思った人材ほど内定辞退の可能性は高い

もちろん上記のような積極的な慰留例が全ての求職者に行われているわけではありません。ただ退職の意思を表明した社員に対して「こういう選択肢もあるよ」と提示する会社が増えていることが事実です。もし優秀な社員であればより積極的な引き止め活動を行うでしょう。具体的に勤務する場所を提案したり、条件交渉などです。

 

選考過程で「この人をぜひ採用したい」と感じた求職者であればあるほど現職からの慰留の可能性も高まるでしょうから、現在の職場は退職についてどのような反応をしているのかを確認し、現職よりも転職したほうがメリットが大きいことを伝える必要があります。現職にミスマッチがなくなればほとんどの求職者が留まることを選ぶはずですので、その更に上を行かないといけないということです。