「大手と比べて見劣りするから実際より条件よく募集を出して目立たせたい」とか「超絶ブラックな会社なんだけど本社が実際働く内容は変えずにクリーンに見えるようにしろってうるさいから、いい感じの求人記事よろしく」的な感じで、自社で求人広告の内容を考えたり、代理店の営業マンに内容をかなり盛った求人記事を書かせるケースがまだあるようです。

しかし、このような虚偽の求人広告は求職者にとって印象が悪いだけでなく実害も及ぼし、ひいては求人を行う企業自身にもダメージがあります。なぜ嘘の求人広告は掲載してはいけないのでしょうか。

※「求人広告の原稿の重要性」はこちら

なぜ嘘の求人広告を掲載してはいけないか

実は嘘の求人広告を出したとしても、法的に明確な罰則はありません。罰則が明確に発生するのは、採用時に提示した労働条件と入社後に実際に実行された条件が違う場合です。多くの企業では採用時には流石に実際の条件を明確に示すので、求人広告とあまりに違う内容であればその時点で自体する人が多いのです。しかし、これでは書類選考や面接などを通過するためにかけた時間と労力が無駄だったということになります。条件が悪い会社なら最初から応募しないはずだからです。

ですので、法的に罰せられないとはいえ、嘘の求人広告を載せるのは求職者に実害を与えているといえます。求職者は嘘の求人広告で被害を被ったと感じた場合、求人広告の運営会社に苦情を言う場合が多いです。「面接に行ってみたら求人に書いてある内容と給与が違った」「正社員としての採用と書いてあったのに、面接でアルバイト押しての採用と言われた」などです。

 

求人広告での募集記事を掲載できなくなる

これを受けた求人広告の運営会社は多くの場合、求人を掲載した企業を担当する代理店の営業マンに事実確認をすることになります。例えばバイトルであればdipから「代理店Aからバイトルに求人を掲載している株式会社B工務店に関して、掲載している内容と面接で伝えられた給与に相違があるという苦情が入っている。事実関係を確認せよ」と言う具合です。

代理店 Aの担当者に株式会社B工務店の担当者が嘘の事実を伝えていた場合と、代理店 Aの営業マンと株式会社B工務店の担当者がグルになっている場合両方あり得ます。どちらにしても、1回目であれば「実は面接に来た方がマッチングしそうになくて、断り文句として安い給料や正社員でない雇用形態を伝えてしまった」と言うような言い訳で、お目こぼしをしてもらえるケースがなくはないです。

しかし、これが2回目のクレームが近い期間で発生したり複数のクレームが同時に発生したような場合、「株式会社B工務店は嘘求人を載せている企業」と認定され、該当の求人広告に今後掲載が不可になります。人を募集したいと思って掲載を申し込んでも審査に通らなくなってしまうのです。

こうなってしまうと付き合いのある代理店Aの営業マンでもどうしようもありません。場合によっては「代理店Aが嘘と知ってて載せたんじゃないか」と疑われる場合もあるので、そうなると代理店Aはその広告の取り扱いを停止させられてしまいます。そうなると困るので、株式会社B工務店は代理店Aにも切り捨てられてしまうのです。

このように嘘の求人広告を掲載することで誰も得をしません。嘘を掲載するのではなくどのような表現にしたら魅力的に感じるか、職場環境をどのように改善していくべきなのかを求人広告代理店担当者と共に話し合うべきなのです。

嘘ではないけど印象が悪い求人

さて、嘘ではないけれども求職者からすると不満が募る求人内容というのもあります。これは実際働き始めてから判明するケースもあり厄介です。

よくあるケースが残業時間です。「月40時間の残業を含む」という求人は割とあります。これは別に違法でもありませんし、内定時にしっかり条件として提示されていたのであれば問題ありません。

しかし、この40時間をほぼ定時としてカウントしているような場合は微妙なところです。例えば定時が10時〜19時の企業があったとします。普通に考えれば特に業務が立て込んでいない日は19時で帰れると考えるわけです。しかし会社によっては「毎日2時間の残業代を含んでいるんだから21時までは会社にいるように」といわれる場合があるのです。

強制にすると問題があるので表立っては言わなくても当然のように仕事を振られたり、帰れないのが当たり前のような雰囲気があると結果従ってしまう方が多いのが現状です。当然これは労働者にとって良い環境とは言えません。

また、有給休暇が夏季休暇、年末年始、さらには土曜日の休みでほぼ強制消化されてしまい、自分で自由に使える有給休暇が毎年2日くらいしか残らないというケースもあります。これも悪意がある会社だと入社時に詳しく伝えないケースがありますが、俺も違法ではありません。法的には有給をしっかり消化させている企業という括りになってしまいます。しかし労働者からすると騙された気分になるでしょう。

嘘の求人広告は百害あって一利なし

嘘の求人広告で集まって、働いている人たちは常に不満を抱えて勤務しているので仕事のクオリティは上がりません。また入社しなかった人たちがSNSやネットの掲示板で悪い口コミを書くことで、企業の悪いイメージが拡散されます。嘘の求人広告は求人を出す企業にとって百害あって一利なしなのです