キャリアアップ助成金が支給されれば企業にとってはかなり大きな収益になります。しかし、正社員化コースでいうと最大で1人あたり72万円、1事業所あたり20人まで申請可能、つまり最大1440万円支給される可能性があるという大きな助成金のため、審査に必要な書類も多く、条件満たしているかは細かく見られますので、手続きは結構大変と言われています。しっかり条件を満たし、申請事項に抜けがないように気をつけましょう。

 

キャリアアップ助成金正社員化コースを申請する際の必要条件

雇用する側がキャリアアップ助成金正社員化コースを申請する場合に満たしていないといけない条件があります。

  • 雇用保険適用事業者であること
  • 雇用保険と社会保険に加入していること
  • 正規雇用への転換日の、6ヶ月前から1年が経過するまでの間で、事務所内で会社都合離職が発生していないこと

他にも細かい点はありますが上記3点が肝になる部分で最も気をつけないといけないところです。特に3番目は要注意です。正社員の会社都合離職は申請が通らない主な原因になると考えてください。この場合の会社都合退職はいわゆる業績の悪化や本人の成績不良に代表されるリストラということになります。懲戒解雇の場合は会社都合離職にはカウントされません。

もし会社都合離職をさせたい社員がいるけれども、別の社員のキャリアアップ助成金を申請したい場合はどうすればいいのでしょうか。制度上は申請したい社員を正規雇用に転換してから6ヶ月経過すれば、その人の助成金申請には抵触しなくなるため6ヶ月経過後に別の社員を会社都合離職するという方法はあります。要は期間に抵触しなければいいのです。

 

あとは会社都合離職ではなく自主退職に持って行くという方法がありますが、これは無理やり自主退職に持っていったとみなされると「不正受給」とみなされます。退職後に退職者が労基に相談したような場合はアウトだと考えたほうがいいでしょう。

 

キャリアアップ助成金正社員化コースを申請する際の書類

雇用する側がキャリアアップ助成金正社員化コースを申請する場合に提出しないといけない条件があります。

  • キャリアアップ計画書(事前に提出)
  • 就業規則
  • 労働条件通知書
  • 賃金台帳
  • 出勤簿
  • 登記事項証明書

 

この中で重要なのがキャリアアップ計画書で、作るのが大変だと企業の皆さんがぼやく書類でもあります。事前に労働局に提出しなければならず、企業のキャリアアップの取り組みを整合性のある形で示さなければなりません。

 

キャリアアップ計画書に何を書けばいいか

キャリアアップ計画書の計画とは3〜5年程度の労働者のキャリアアップ計画を記さなければなりません。つまり「正社員に積極的に転換を行います」だけではダメということです。被雇用者が長期にわたって勤務できる環境を整え、役職や給与などをどのように向上させて行くかを記さなければなりません。

 

「そんなこと言ったってうちみたいな零細企業がそんな3〜5年後のことなんてわからんし、役職だってそもそもない」という経営者の方もいらっしゃるでしょう。しかしそもそも労働力を集めることが難しい時代になっているので、助成金を申請するかどうかは別として労働者に対してキャリアアップのビジョンを示せないと、求人や継続的に勤務してもらうことがうまくいかない可能性が高いです。「キャリアアップアップ助成金を申請したい」というのをきっかけにして雇用者のキャリアアップ計画を真剣に考えてみるべきです。

 

キャリアアップ計画書は現実の被雇用者の状況と整合性が取れている必要があります。あまり余計なことを書いてしまうと、現実にキャリアアップ助成金を申請した段で「計画書と違う」と却下されてしまう可能性があります。

 

キャリアアップ計画書に関しては社労士などの専門家に相談した方が無難です。しかし、最近助成金ビジネスは怪しい会社が増えているので、依頼する際には信頼できるところに頼むことが必要です。

 

就業規則も改訂する必要があるかも

就業規則で注意しないといけない点があります。正社員化する場合の期間の定めです。

 

例えば「毎年4月1日に契約社員を正社員に転換する」というような項が就業規則にある場合。4月1日に正社員化するのはもともと決まっていたから、助成金の対象にならないと判断されてしまうのです。例えば10月1日に入社した有期雇用で入社した社員が6ヶ月経過した4月1日に正社員に切り替える場合、これがもともと決まっていた契約内容だと捉えられてしまうということです。

 

キャリアアップ助成金は「もともと正社員化することが決まっている場合は対象外」です。ですので、こういった内容が就業規則にある場合は修正しておいた方が無難です。

 

キャリアアップ助成金は計画書と就業規則が重要

他にも満たさないといけない条件や提出書類はありますが、まずキャリアアップ計画書と就業規則をしっかり整えないと申請しても却下されるのは間違いありません。あたふたしている間にキャリアアップ助成金の申請期間が過ぎてしまう可能性もありますので、しっかり事前に準備をしておきましょう。